2010年5月31日月曜日

Baa Baa Black Sheep (邦訳無し?)

作:Iza Trapani (マザーグースの童謡を絵本化)
初版:2001年

Baa Baa Black Sheep
Baa Baa Black Sheep
Whispering Coyote Pr 2001-07
売り上げランキング : 103291


Amazonで詳しく見る
by G-Tools


マザーグースの童謡(nursery rhyme)にある歌を絵本化したものです。マザーグースと言えば「メリーさんの羊」とか「ハンプティダンプティ」などが日本でもよく知られていますが、こちらの黒羊の歌も我が家がイギリスにいた時によく聴いたものです。

こんな感じの歌です。覚えやすいメロディだと思います。


「ウールはないか」と聞かれた羊が、旦那さまの分と奥さまの分、あとひとつは近くに住む坊ちゃんの分です、と答えていますが、絵本では話を膨らませ、いろんな動物が「ウールを頂戴」と言いに来ます。羊はずっとそれを断っていたのですが、実はそれには訳があり…。

普通に読んでももちろん楽しいのですが、同じメロディを繰り返してずっと歌っていくこともできるので、そんな楽しみ方もいいと思います。

2010年5月30日日曜日

Prairie Town (邦題:プレーリータウン)

作:Bonnie Geisert, Arthur Geisert
日本語訳:久美沙織
原書の初版:2000年

Prairie Town (Geiserts)
Prairie Town (Geiserts)
Walter Lorraine 1998-03-30
売り上げランキング : 672493


Amazonで詳しく見る
by G-Tools


プレーリータウン
プレーリータウンアーサー ガイサート

BL出版 2000-05
売り上げランキング : 908657


Amazonで詳しく見る
by G-Tools


今から1世紀ほど前のアメリカの大草原プレーリーの街と、そこで暮らす人々の様子を描いた絵本です。作者のガイサート夫妻は、アメリカの昔の街並みを舞台にした絵本を多く発表しているの人です。この作品の最大の魅力は、何といってもアメリカの広大な空間とそこで営まれる生活を、丹念に描き込まれた絵で見事に表現していることです。

表紙を見ていただくと、建物や自然や人々など、絵がものすごく丁寧に描かれていることがわかります。エッチングという銅版画の技法が使われているんだそうです。そして、作品中の文章はシンプルなのですが、この「絵」が四季の移り変わりや人々の暮らしを雄弁に物語っています。

それぞれのページをじっくりと見ていくと、何らかの催しや事件がどこかで起きているのがわかります。例えば家の改築であったり、子どもたちのツリーハウス作りであったり。そしてそうした営みは、ページをめくるごとに段々と進行していきます。空間の広がりとともに時間の流れを感じさせてくれる絵本なのです。

子どもと一緒にページをめくりながらそんな移り変わりを探すのも楽しいですし、大人だけで読んでも楽しめる絵本だと思います。

2010年5月24日月曜日

Library Lion (邦題:としょかんライオン)

作:Michelle Knudsen(ミシェル・ヌードセン)
イラスト:Kevin Hawkes(ケビン・ホークス)
原書の初版:2006年

Library Lion
Library LionKevin Hawkes

Candlewick 2009-06-25
売り上げランキング : 9556

おすすめ平均 star
star円高だから洋書

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


としょかんライオン (海外秀作絵本 17)
としょかんライオン (海外秀作絵本 17)ケビン・ホークス

おすすめ平均
starsライオンと図書館長との心の絆
starsおはなしのスイッチON
stars考えさせられることがいっぱい
starsこんな図書館があったらいいのに・・・
starsニューヨーク公共図書館本館のシンボル君たちがモデル

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


ある日、大きなオスのライオンがふらりと図書館にやって来ます。みんな最初はびっくりしますが、「大声を出したりしないという図書館のルールを守れば良い」という館長のメリウェザー女史のひと言で、ライオンは図書館を利用する人々の仲間入りをします。尻尾で本棚の掃除をしたり、子どもたちの背もたれになってあげたりとどんどん周囲の人々と打ち解けていくライオンですが、どうしてもルールを破らなければならない事態が起きてしまい…。

ライオンを主人公のキャラクターにしながらも、いわゆる「動物絵本」ではありません。いろんな出来事が起きるのはあくまで人間の世界。「人にとって大切なことは何か」ということをじんわりと考えさせてくれる絵本です。ライオンが図書館にやってくるという意表をつく冒頭、ライオンがルールを破ってしまった後の悲しい雰囲気、そしてエンディングへの持って行き方、そのどれもが見事です。比較的文字数の多い絵本ですが、3歳ぐらいから読み聞かせ出来ると思います(集中力が持たないようであれば、内容を一部端折りながらイラストをメインに楽しむこともできます)。

一歩間違えば荒唐無稽な話になってしまいそうな設定をリアルに感じさせてくれる構成と優しさに満ちたイラストのどちらもが一級品です。2006年初版とまだ新しい作品ですが、これから確実に絵本の「古典」となっていくことでしょう。

2010年5月20日木曜日

Wild About Books (邦訳は無し)

作:Judy Sierra (ジュディ・シエラ)
絵:Marc Brown (マーク・ブラウン)

Wild About Books (Irma S and James H Black Honor for Excellence in Children's Literature (Awards))
Wild About Books (Irma S and James H Black Honor for Excellence in Children's Literature (Awards))Marc Brown

Knopf Books for Young Readers 2004-08-10
売り上げランキング : 103645


Amazonで詳しく見る
by G-Tools


サンディエゴ動物園に行ったときに買ってきた絵本です。図書館で働くモリーさんが、ある日間違って移動図書館の車で動物園に行ってしまいました。ところが、車を停めて本を出すと動物たちが興味津々の顔つきで覗きこんでいます。モリーさんが読みきかせをしてあげると動物たちはたちまちこの「本」というものにのめり込み、自分たちの好きな本を読んだり、小説や俳句を作り始めたりと活動を広げていきます…。

場所が場所なだけに、本当にいろいろな動物たちが出てくるのですが、表紙を見ればおわかりいただけるように、暖色をベースにしたイラストが本当に素敵です。サンディエゴ動物園内のショップには動物関連のいろいろな絵本が置かれていましたが、パッと目を惹かれたのがこれでした。中には少し難しめの単語が出てくるところもありますが、内容はわかりやすいものです(アメリカでは4~8歳向けとなっています)。絵を見るだけでもすごく楽しめる絵本です。

2010年5月19日水曜日

Corduroy (邦題:くまのコールテンくん)

作:Don Freeman (ドン・フリーマン)
原著の初版:1968年

Corduroy (Picture Puffins)
Corduroy (Picture Puffins)
Puffin 1976-09-30
売り上げランキング : 5035

おすすめ平均 star
starひとりぼっちは寂しいよね。
star男の子を意識したビーディくん、女の子を意識したコールテンくん、どちらも大好きです。
star心温まります

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


日本語版はこちら。
くまのコールテンくん (フリーマンの絵本)
くまのコールテンくん (フリーマンの絵本)まつおか きょうこ

偕成社 1975-05
売り上げランキング : 67127

おすすめ平均 star
starひとりぼっちは寂しいよね。
star男の子を意識したビーディくん、女の子を意識したコールテンくん、どちらも大好きです。
star心温まります

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


クマを主人公にした有名な絵本です。大きなお店のおもちゃ売り場にいるクマのぬいぐるみCorduroy。自分を買ってうちに連れ帰ってくれるお友達を待っていますが、ずっとそこに置かれたまま。ある日、女の子が棚から手に取ってくれますが、ボタンがひとつ取れているからとお母さんに反対されてしまいます。悲しい思いをしたCorduroyは、その晩、取れたボタンを探してデパートの中を探検することにします…。

絵の雰囲気とも相まって、ほのぼのと温かい雰囲気に満ちた作品になっています。クマが緑色のコーデュロイのズボンを穿いているのでこの名前が付けられたのだと思いますが、邦題では名前が「コールテン」くんに言い換えられているところも微笑ましいです。

2010年5月17日月曜日

The Story of the Little Mole who knew it was none of his business (邦題:うんちしたのはだれよ!)

「The Story of Little Mole who knew it was none of his business)
(邦題:うんちしたのはだれよ!)」
 作:Werner Holzwarth (ヴェルナー・ホルツヴァルト)
 イラスト: Wolf Erlbruch (ヴォルフ エールブルッフ)

The Story of the Little Mole Who Knew It Was None of His Business
The Story of the Little Mole Who Knew It Was None of His Business
Anova Childrens Books 2008-04-28
売り上げランキング : 42973


Amazonで詳しく見る
by G-Tools


日本語版(「うんちしたのはだれよ!」)はこちら。
うんち したのは だれよ!
うんち したのは だれよ!ヴォルフ エールブルッフ

偕成社 1993-11
売り上げランキング : 14688

おすすめ平均 star
star日本の絵本にはあまりない内容で面白いです。
star大人も子供も受けます
star人生の出会いと別れについて

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


ある朝、小さなモグラが天気を見ようと穴から外に顔を出すと、頭の上にペチャッと何かが降って来ます。何とそれはうんち!でもモグラは近視なので、誰がそのうんちをしたのかがわかりません。そしてモグラの犯人探しが始まります。

あくまで一般的な傾向ですが、家族の中で「お母さんは眉をひそめるけどお父さんと子どもたちは大好き」という遊び方がある場合があります。この絵本は、まさにそんなイメージの作品です。

うんちを扱った絵本は他にもありますが、こうしたやや下品とも言える方法でうんちをテーマにした絵本というのはあまりないと思います。それでも嫌らしさを感じさせずむしろすっきりとした読後感になるのは、ユーモラスなイラストとモグラを始め作品中に登場する動物たちの味のあるキャラクターのおかげでしょう。子どもと二人、最後の最後まで大笑いしながら幾度も読み返してしまいました。元々ドイツ語の絵本だったものが英語に、そして日本語に翻訳されているというところからも、幅広く支持を集めている絵本だということが伺えます。

ちなみに上で紹介した英語版はページの一部が浮き上がるポップアップ版です。こちらはさらに可笑しい仕上がりになっていますが、お子さんが小さい場合は「The Story of the Little Mole Who Went in Search of Whodunit」という少し違うタイトルで出ている普通のハードカバー版(下記)をお薦めします。
The Story of the Little Mole Who Went in Search of Whodunit
The Story of the Little Mole Who Went in Search of Whodunit
Harry N. Abrams 2007-03-01
売り上げランキング : 20968


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

2010年5月16日日曜日

Little Blue and Little Yellow (邦題:あおくんときいろちゃん)

「Little Blue and Little Yellow」
 作:Leo Lionni (レオ・レオーニ)

Little Blue and Little Yellow
Little Blue and Little YellowLeo Lionni

HarperCollins 1995-08-24
売り上げランキング : 6457

おすすめ平均 star
starなぜ、そこに優しさを感じられるのか?
star外国の絵本の定番として、必ず登場する絵本
star素朴で深い絵本ですね

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


日本語版(「あおくんときいろちゃん」)はこちら。
あおくんときいろちゃん (至光社国際版絵本)
あおくんときいろちゃん (至光社国際版絵本)藤田 圭雄

至光社 1984-01
売り上げランキング : 9856

おすすめ平均 star
starなぜ、そこに優しさを感じられるのか?
star外国の絵本の定番として、必ず登場する絵本
star素朴で深い絵本ですね

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


仲良しのあおくんときいろちゃん。一緒に遊んでいるうちに色が混ざってみどりになってしまいます。うちに戻ってもみんな気づいてくれません。でも悲しくなって泣いていると…。

「スイミー」などで有名なレオ・レオーニによる作品です。この絵本は孫を喜ばせるために作ったと言われていますが、素朴なイラストと文章がものすごく深いメッセージを伝えてくれているように感じます。余白(何も書かないこと)の大切さを教えてくれる絵本であるような気もします。もしかしたら子どもよりも大人が楽しめる作品なのかもしれません。

2010年5月15日土曜日

Where the Wild Things Are (邦題:かいじゅうたちのいるところ)

「Where the Wild Things Are (邦題:かいじゅうたちのいるところ)」
 作:Maurice Sendak (モーリス・センダック)

Where the Wild Things Are
Where the Wild Things AreMaurice Sendak

おすすめ平均
starsマックスが表情豊かです。
starsブラボー!!
starswhere the wild things are
stars嗚呼、懐かしのセンダック!
stars怖いもの知らずの男の子

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


日本語版はこちら。
かいじゅうたちのいるところ
かいじゅうたちのいるところじんぐう てるお

冨山房 1975-12
売り上げランキング : 787

おすすめ平均 star
star冒険心を育む絵本
star読み聞かせに最高の一冊です。
star子供と読むには最高です

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


いたずらをして寝室に閉じ込められた男の子マックスが、突然目の前に現れた大海に船で乗り出し、かいじゅうたちのいる島にたどり着きます。そこでかいじゅうたちの王様として君臨するマックスでしたが、やがてさびしくなってきて…、というのが話の筋です。

ちょっと怖いところもあるけれど子どもたちの冒険心を惹きつけてやまない、というタイプの絵本を代表する作品だと思います。神宮輝夫さんによる訳も良いですが、原文の英語もとてもテンポがよいしあまり難しくないので、お薦めです。この絵本は読者がほっとして心地よく読み終われるようになっているような終わり方になっているのですが、特に最後の部分英語での表現は、シンプルでかつ温かみがあり、すごく好きです。

今年公開された映画版(公式サイトはこちら)は好き嫌いが分かれそうだな、という印象を受けましたが、原作の絵本の方は、より間口が広くいろいろな人を楽しませてくれるのではないかと思います。